1/1ページ目 美咲は家の机に向かって勉強していたのだが…。 教科書が一冊ない…!? 「学校に忘れたのか!?」 そこら中探してみるがやっぱりない…。 「うわ…、やっちゃったなぁ〜っ」 ノートがない程度ならさして問題ではないのだが、教科書ともなるとそうはいかない…。 もともと努力家の美咲は予習復習を完璧にこなしてから眠るので、これはなかなか痛いのだろう。 だが、おかしい…。 美咲が学校で確認したときには確かにカバンに入れたのだ。 思い返して見ると… 「あ゛ッ!」 忘れた場所に思い至った。 その場所とは… 「…碓氷の部屋」 そう、放課後に碓氷の部屋に寄ったのだ。 勉強しようと思い教科書を出したのだが、結局彼に邪魔され、甘い時間を過ごしてしまった…。 「今、11時50分…か」 さすがに電話するのは非常識な時間だ。例え相手が変態宇宙人であったとしても…。 諦めて寝ようとしたところ、突如携帯が鳴った。 画面には『碓氷』の名前。 「もしもし?」 「あ、美咲?今平気?」 「おぅ。なんだよ、こんな時間に」 「今、美咲ん家の前にいるんだけど」 「は!?」 びっくりした。 「ちょっと降りてきて〜?」 家族に知れないようにこっそり、しかし急いで玄関に向かう。 「こんばんは、美咲ちゃん」 「こんばんは、じゃねぇ!」 声は落とし気味に怒鳴る。 「もう怒んない、怒んないvはい」 渡されたのは一冊の教科書。 「…これ」 「そっ、忘れてったでしょ?」 「あ、あぁ」 まさか届けてくれると思わなかった。 「ごめんね、すぐに気づかなかったから」 「いや、ありがとな…」 そのやさしさが嬉しい。 「どういたしまして、じゃあまた明日ねv」 「おぅ…」 (なんだか、こんな時間にわざわざ一冊の教科書の為に来てくれたのに、何のお礼も出来ないのは嫌だな…) かろうじてお礼の方法を見つけたが…恥ずかしい。 (まぁ、暗いしいいか…そのままもなんだか嫌だし!) そう決めた瞬間美咲は小走りで、前を歩いていた碓氷を追いかけた。 「碓氷っ!」 振り向いた瞬間、彼の頬に手を添えて軽く唇を重ねた。 離れたところで碓氷が美咲を抱きしめた。 「どういう風のふきまわしかな、美咲ちゃん?」 嬉しげな笑顔を向けて少し顔を傾けた。 「お礼、だよ…」 美咲は自分のしたことをかなり恥ずかしがり、下を向いてしまった。 その姿を見て更に碓氷が笑顔になる。 「美咲ちゃん、こっち向いて?」 「なん、っんぅ!?」 今度は碓氷が深く口づけたのだ。激しくやさしいキス。ピリピリと甘い痺れが美咲の体中を支配してゆく。 「今日はここまでね、俺からのお礼の続きはまた明日」 「ョバカ!」 「お休み、美咲v」 「あぁ、お休み」 離れても心が温かいのは彼のやさしさを知って愛し愛されているから…。 その想いに包まれて美咲は眠りにつく。 そして、翌日の碓氷のお返しの続きはきっと甘くてやさしい口づけから始まるのだろう…。 end <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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