SECRET
お薬と甘い罠
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大学の夏休みは遅く始まる分長い。
バイト先も相変わらず同じ碓氷と美咲は結局ほとんど顔をあわせている。

そんな今日は美咲の家族が泊まりで出かけてしまうため、バイトの後碓氷の部屋に泊まることとなっているのだった…。




「…これ、どーしよっかな?」

碓氷がソファーに仰向けに寝ながらコロコロと手のひらで弄んでいた小瓶。
中にはとろりとした一見ハチミツにも見える液体が入っている。


だが、その正体は媚薬。
先日叶に偶然出会い、友人から押し付けられたのだが自分には使う相手もいないし必要ないからとくれたのだった。


「俺も別に必要ないんだけどな…」

美咲はもともと感度がいい。
恥ずかしがりなところは未だに健在だが碓氷は十分に満足している。
乱れさせたいときはほんの少しイジメて焦らしたりするが申し分ないのだ。
こんなものをわざわざ使って行為に及ぶ必要もなければお互いに飽きたわけでもない。
…むしろ後者は2人に無縁ですらあるのだ。


「まぁいっか。使わなければ使わないでいいし」

そしてポンと頭上においてごろんと向きを変えたところで携帯がローテーブルの上で小さく音を鳴らした。
彼女がバイトを終えた時に一度連絡をくれるたのだ。
鍵は渡してあるのであとは準備をするだけ。
美咲は行為の前に風呂に入らなければさせてくれないので、湯を浴槽に張りつつお茶とあらかじめ作っておいた食事を用意した。



オートロックの玄関が開いたのはその数分後、お邪魔しますという彼女の声と同時だった。
お茶をローテーブルにおいて彼女を出迎える。

「美咲ちゃん、いらっしゃい」

「おう。荷物、部屋に置かせてもらうぞ?」

「どーぞ、部屋にいつものお茶おいてあるから飲んでて?俺、お風呂のお湯止めてくるから」

「あぁ、ありがとな」


ついでにと洗濯機にこの時わざわざ衣類を放り込んで戻ったことに俺はそのあと後悔する事となる…。



******


用意していた軽食もとり、少しくつろいでいたところで俺は美咲にお風呂をすすめた。

「美咲、お風呂入っちゃいなよ」

「あ、…あぁ。じゃあ先頂くぞ?」

「うん、どうぞ。あっ洗濯物あったらいつもみたいに入れといて?」

「おう、わかった」

「あ、それと今日これ着てみて?」

ひらりと揺れたタオル地のもの…。
だが美咲には見慣れないもののようである。

「なんだ?」

「バスローブだよ、脱がせや「黙れ変態」」

べしんと彼の腕を叩き怒ったように眉間にシワを寄せる。

「まぁまぁ。とりあえず着てみてよ、浴衣とかと同じだからラクだよ」

「ふーん?どこでこんなもん買ったんだ?」

怪訝な顔をした美咲に碓氷は肩をすくめて答える。

「何かくじ引きみたいなので当たったんだ。ペアのバスローブセット」

「へぇ、お前の変態性がこんなものまで買わせたのかと思ったぞ」

「変態性ってひどいなー」

「まぁいいや、じゃあお先」

そのバスローブを抱えて美咲は風呂場へと向かう。
すんなりとそれを受け入れてもらえたことに碓氷はほんの少し驚き、また喜んでもいたのだった…。
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