FUTURE
旦那様の起こし方
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時計を見ればもう正午



「拓海!いい加減起きろ!!」

三連休の始まりの日、大抵こいつは何度起こしても爆睡している。


「ん〜、やだ…寝る」

「もう昼だ!!」

既に高くなった陽がカーテンを開けると現れる。

「昼でも寝る」
カーテンを開けてもムダのようだ。

「…そうかそうか、そういうこと言うのかお前は」


それなら…


取り出したるは直径30cmはある特大目覚まし時計。
結婚のお祝いで何がいいかと某メガネの後輩に聞かれ、即座に私がリクエストしたものだ。

一緒に住み始めてからというもの低血圧の夫を叩き起こすのが大変だったので重宝しているのである。



5分後に設定して彼の枕元に置き部屋を出る。



リビングに戻り、静かに時計を見て時間を待つ。

五秒前、



四、



三、

このあたりで耳を塞ぐ。

二、



…一






ジリリリリリ…!!!!


けたたましい音が家中に響き渡る。



数秒後、その音が鳴り止み夫がもそもそと起きてきた。


「おはよー、美咲ちゃん」
頭を掻きながらリビングに現れた彼の手には例の特大目覚まし。

「おそようの間違いだろ」

「だからってこの目覚まし使わないでやさしく起こしてよ〜」
横に座りながらぺんっと時計を叩いてローテーブルに置いた。

「何度も起こしたぞ」

「ちゅーして欲しかったの」

察してよ、などと世迷い事を抜かすから思わず私は怒鳴った。

「誰がするか!!」

「いいじゃん、旦那様にちゅーくらい。減るもんじゃあるまいし」

催促するように唇を人差し指でトントンと叩いて顔を近づけてくる。

「そういう問題じゃないわ!!」

「ホント、いつまで経ってもうぶだよね」

離れながら笑ってソファーにもたれている。

「悪かったな!!」

「俺の扱い覚えてってこと。ちゅーして起こしてくれたらすぐに起きるのに」

「普段自分できちんと起きられない奴になんかしてやらない」

失言だったようだ。
こいつのなかの何かに触れて火をつけてしまったらしい…。


「ほう?おもしろいこと言うね、じゃあ普段俺が先に起きたらちゅーするからね」

いつも起きるのは情事の後を除き私の方が早い。
ゆえにまさか起きられるなんて思わなかった…。



翌朝…


「んっ?…ん゛〜!?」
息ぐるしさで私が目を覚ますと一番に見えたのは拓海の顔。
理解が遅れ、ようやくキスされていることに気づいた。

「あっ、起きたんだ」

「何すんだよ!?」

口元を手で覆い、熱を持った肌を隠す。

「昨日言ったでしょ〜?俺が先に起きたらちゅーするよって」

悪びれもせずに私の手を掴んで再び顔を寄せた。

「…!?」

「まだだよ?」
言われると同時に唇が重なった。

もごもごと歯列をなぞられ、口を開いてしまったために彼の舌の侵入を完全に許してしまった。

深くて長いキスをされるがまま…身体中の力が抜けた頃にやっと解放された。


「気持ち良かった?」

「お前っ、起きられるんじゃないか!」

「今日は頑張ってみたんだよ、ちゅーしたかったからね」

「この野郎!!」
殴りかかったがいつもの如く避けられ、身動きが取れなくなる。

「おや〜?愛する旦那様にひどい言い草、おしおきしちゃおっかな」

「なっ、…このバカ〜!!」





これから始まるのは旦那様にとって、おしおきという名の甘い甘い栄養補給。

旦那様は大好物の奥様を存分に味わったそうです。


だけど、いくらおしおきされても奥様が使うのは特大目覚まし時計。




理由は…






『…朝からキスなんかしたら後がどうなるかわからない!!』





ある意味察しの良い奥様。
旦那様の栄養補給は朝でも夜でも時を選びません。

だから平日は危険です。


…でも、たまには奥様から旦那様へキスしてあげましょう!



きっと嬉しげな極上の笑顔が見れるはずですから…。


END
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