FUTURE
お出かけは?
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今、お腹に赤ちゃんがいる私は過保護な夫から規制をかけられ極めて大人しく日々を送っている。


だが、家事すらもあまりやらせてもらえないので暇で暇でしょうがない…。



そして現在、夫は眠っている。…私の膝の上で!




結婚してそこそこ経つのだか、全くもってこいつはくっつくのをやめない。

やめるどころか結婚当初より格段にくっついている時間が増えた。


例に漏れず、今も私の腹部にしがみついてぐっすりと眠っているのだ。

彼曰く、「俺も美咲と一緒にいたいし、赤ちゃんの音聞きたい〜」とのことらしい。


母親の私は体でお腹のこの子を感じとることができるが、いかんせん父親の拓海はお腹に耳などを当てねば感じられないのである。


だからって、休みになれば(平日仕事から帰って来てからもだが)四六時中ひっつかれているこっちはたまったものではない。



…実は嬉しかったりもするのだが、それは黙っておく。



諦めてしがみついている拓海の髪を撫でながら本を読んでいるとお腹の子供が動いた。

それと同時に拓海も目を覚ましたのである。



「やっと起きたか…」
呆れながらまだ眠気眼の拓海に声をかける。

「美咲…今、動いたよね?」
夢かどうか尋ねるような顔をしている。

「おう、多分蹴っ飛ばしたんだよ。お前がいつまでも寝てるから起こしてくれたんじゃないか?」

やや皮肉るように笑って言ってやったが、こいつは嬉しげな顔をしている。

「そっか、じゃただの膝枕にしとく」
結局また膝の上に納まってしまった。

「おい、こら」
言ってもきかないのはわかりきっているが、とりあえず一言言いはする。


「音、おっきくなってる。元気みたいだね」
まるで子供の声を聞くかのようにやさしくお腹に耳をあてている。

「あぁ、順調らしい。実際結構動いてるしな」

お腹を撫でながら言うと、いささか拓海が口を尖らせた。

「いいなぁ〜、俺も動いてるの感じてたいな〜」

「…だからやたらとひっついてくるんだろ?」

「それもあるけど、美咲ちゃんに触りたいからだよ?」

「お前ってやつはホントに…」
赤くなるのを感じつつ俯いていると、拓海が起き上がって座り直しながら私のお腹を撫でる。

「ずいぶん成長したよね〜、お腹おっきいもん。重くないの?」

「徐々に成長してるから、そこまで重さは感じないな。ただ、歩きづらい」

「転ばないようにね?」
少し心配そうな顔でこちらを見てくるが、それには及ばんと笑ってみせる。


「大丈夫だ、気をつけてるからな」
安心したのか彼の目元がほころんだ。

「今6ヶ月だよね、一番安定した時期なんだっけ?」

「そうらしいな。少しなら遠出もしていいらしいぞ?」
検診に行った際に医師に言われたことを思い出した。

「結構自由きくんだ…。少し出かけてみる?」

妊娠してからは家にいるように言うのだが、珍しく外出する気になったらしい。


「出かけるのはいいが…、どこいくんだ?」

「内緒、でも美咲ちゃんも知ってる場所だよ」

「ふーん?じゃあ楽しみにしとく」

「うん、じゃあ明日出かけよ」



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