1/1ページ目 俺の仕事は休みだったので、家のリビングでソファーに座って本を読んでいた。 すると美咲が洗い物をし終えたのか、キッチンから出てきてなにやらバックをごそごそしている…。 「美咲、どこ行くの!?」 すかさず尋ねると、何を言ってるんだとばかりの反応を返された。 「は?買い物だよ」 うちの奥さんはホントに…! 「俺が行くからいいって!」 妊娠中にこの台詞を何度言わせたら気がすむのだろう…。 「少しは運動させろよな!体に悪い!」 美咲は普通の妊婦さんより、明らかに運動してんでしょ!! 「転んだらどうすんの!?」 俺がいつも心配してるのはこのこと、何かあったら取り返しがつかない。 「んな間抜けなことするか!」 「この前だってひったくり追っかけようとしたじゃん…。美咲ちゃんはお腹に赤ちゃんいるんだからそういうことしちゃダメ!」 あの時はホントにびっくりした…。ここまで勇ましい妊婦が他にいるだろうか…?いや、いない…。 「それとこれとは別だろ!?」 反省してないの!? 「全然別じゃないから!赤ちゃんいてもいなくても俺の寿命が縮む!」 「あ〜、もうわかった!なら一緒に買い物行こう、な?」 「…それなら…、けどひったくり追っかけようとしたらお仕置きするからね!」 「妊婦にお仕置きすんのか?お前は」 もう、強かになっちゃったなぁ…。 「…赤ちゃん生まれた後でたっぷりお仕置きしてあげるよ?そういうこと言うなら」 覚悟しといてね? 今はただでさえ美咲を我慢していて溜まってるのだから。 「いや、遠慮しとくよ…お前が本気になったら体がもたん」 「美咲ちゃんはすぐに感じちゃうもんね〜」 仕返しを兼ねて意地悪く言ったら睨まれた。 「…お前、そういうことを」 「ほら、行こっ?運動したいんでしょ?」 「…ホント、お前は心配性だよな」 「美咲ちゃんとこの子だけだよ、俺が心配するのは」 「全く…」 「あっ、そうだ!」 「なにっ?んっ…!?」 溜まってる分を少し消化するべく、しっかりと深〜いキスを堪能させてもらった。 「お仕置きの先払い。ごちそうさま」 「拓海〜!!」 「後の分はこの子が生まれてからね、いっぱい構ってもらわなきゃ」 「どういう理屈だよ」 真っ赤になって眉間にシワを寄せている。 「旦那様は若奥様をいつでも求めてるってとこかな?美咲は気持ちいいから」 「この変態!」 「その変態のプロポーズ受けて結婚したくせに〜」 「な、お前はっ!」 「じゃあ、後悔してるの?」 俺の言葉に美咲は不機嫌になったようだ。 「…後悔してるなら赤ちゃん生んでいいかなんて聞くかよ。前に言っただろ?不安も後悔もないって」 更に怒ってぷいっと横を向いてしまった 「覚えてたんだね」 やっぱり何度聞いても嬉しくなってしまう。 「…これ言わせる為に聞いたな?」 我妻ながら、なかなかのジト目っぷりである。 「あっ、バレた?」 笑って返すと彼女は下を向いてしまった。 「性格、父親に似ないでくれよ…?」 お腹を撫でながら赤ちゃんに声をかけている。 今度こそ声に出して笑ってしまった。ついでに便乗して…、 「美咲ちゃんみたいに猪突猛進過ぎませんように〜」 「おいっ!」 怒りながらも笑う美咲の手をとって向かうのは買い物がてらのお決まりデート。 なんだかんだ言って一緒にいられれば嬉しいからね。 この子が生まれたら今度は3人のデートになる。 それもまた、これからの俺の楽しみ…。 私が生まれてくるのはもうちょっと先。 だけど2人の子供であることが今も、すごく嬉しいです。 END <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
[編集] |