FUTURE
お菓子とイタズラ
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金曜日の昼。
美咲がソファーに座って休んでいると娘の薫がソファーに飛びのってきた。

「ママ!」

「なんだ?薫」

「とりっくおあとりーと」

隣でちっちゃい手を差しだしてニコニコしながら発した言葉。

「…どこで覚えたんだ?」

「パパがよんでくれたえほんだよ」

「…意味わかるか?」

「えっとね、おかしをくれなきゃイタズラするぞ!」

今日がハロウィンだと見越してそういった類の絵本を選んだのだろう。
まぁ意味まで教えてたし、いいか…。


「じゃあいっこだけな?」

買い置きのお菓子が確かまだあったはずと腰をあげると服の裾をつっと引かれた。


「ねぇママー」

「ん?」

「おかし…一緒に作って?」

おずっと遠慮がちにされた娘のお願い…。
料理は相変わらず得意ではないが…。

「作ってみたいのか?」


「うん!」

その嬉しそうな笑顔に負けてクッキーを作る支度をし、生地の型を抜いてる時に拓海が帰ってきた。

「めっずらしー光景」

「あっパパ!」

薫が型抜きをするために乗っていたイスから降りて拓海の側に駆け寄った。

「おかえり。…なんだよ珍しいって」

「ただいま、だってお菓子作ってるんでしょ?あんまり作らないじゃない」

駆け寄った薫を抱き上げてぽんぽんと頭を撫でながら話を続けた。

「薫がお願いしたの!」

「薫が?」

「きのうパパによんでもらったえほんにあったでしょ。とりっくおあとりーとって」

「あぁ、それで?」

「そう!パパも作ろ!」

「いいよ。じゃあ着替えてくるね」

こうして再開されたお菓子作り…。


あまり数を作らず私は薫とお菓子を作って拓海はそれを手伝いつつ、器用に夕飯を作っていた。


「出来たー!!」

「夕御飯食べ終わってからお菓子は食べような?」

「…いっこだけたべちゃダメ?」

目の前に自分が一緒に作ったお菓子が並んでいてそれを我慢しろというのも酷な話か…。

「わかった。いいよ、できたて食べたいもんな。でも残りは夕御飯のあとだぞ?」

「うん!」

「薫、どれがいい?」

拓海が薫の好きなものを選ばせてやろうとして視線を合わせる。
結局選んだのは比較的小さなもので嬉しげに口に入れていた…。

********
「薫寝ちゃった?」

「あぁ。疲れたみたいだな」

ソファーに座っている拓海に話かけながら隣に腰かける

「ねぇ美咲ちゃん」

「なんだよ」

「Trick or Treat」

「は?さっき食っただろ」

「んじゃイタズラね」

ガバッと横から抱きつかれて彼の腕に体が包まれる。

「わっ、やめろアホ!薫が起きるだろ」

「じゃあ静かにしてもらおっかな」

「なっ!?」


抱きすくめられて口づけられた美咲に逃げ場はなく、そのまま主人の腕のなかでほんの少しの間甘いイタズラを受けたのでした。

お菓子とイタズラ、美咲にとって甘かったのはどっちだったのでしょうね?

END
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