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●Eine Mitteilung für dich 1-3
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「考えてみたら、宿泊先は村田じゃないと辿り着けねーもんな」
苦笑いする渋谷。
「すぐにきみが気付いてよかったよ」
そのまま引っ張られていくままだったら、一体全体どんなところに行ってしまっていたのだろうか。
ぶらりと目的もなく歩いてみるのもいいかもしれない。けれど重い荷物を持ったままというのは勘弁したいし、歩くなら場所は選びたい。変なところに入り込んでしまったりしたらマズい目に合わないとも限らない、そういうのは日本でも言える事だけど。ドイツは世界全体的に見たら凄く治安のいい方だけれど。しかし、どこも必ずしも安全とは限らない。
「おれはその本の地図も訳分っかんねーしな。て事でここも村田任せた!」
「今確認するよ」
まったくもう渋谷は、しょうがないなーとパラパラとガイドブックをめくる。地図の中の予約していた宿泊先の位置を探す。
「……」
ぱたんとガイドブックを閉じる。
「よし分かったぞ。OK行こう渋谷」
「え、もういいのか?」
「うん、もう見たから」
今見た情報はもうちゃんと憶えた。
「もう憶えたから」
「そっか」
僕の言葉に、渋谷はあっさりと頷く。
「じゃあ任せた村田!」
「うん」
僕を疑う事なく手放しで信じてくれている、いつも…。渋谷の信頼が嬉しい。
「行こっか」
僕達は目的地に向かって歩き出す。
2人だけの旅。何かのツアーとかじゃなくて僕達は個人旅行だ。だから何の制限もなく好きなところを好きな時に好きな風に回れるというメリットがある。しかしその代わり、何から何までを自分達でしっかりと確認した上でやらなくてはならないという点もある。


「こっちだよ。電車に乗ってくから」
僕は僕達が行く方向を指で指し示す。
「おおー。何か村田、ガイドとかみたいだよなー」
「ガイド?」
「何かのツアーとかで行き先案内してくれたりする人とかいるじゃん?そういうの全部村田に任せちゃってるからさ」
言いつつ少し申し訳なさそうな顔をした後、
「おれ、ドイツ語どころか英語とかでも全然だし、おれに任せたらむしろ変なところ行きそうだしなー。電車の乗り方とかそういうのも分かんねーし」
と言ってくる渋谷。分かっているよ。
「うん、だから任せてよ。そこらへんも僕分かってるし」
しっかり渋谷を案内出来る自信はある。
きみの得意分野はきみに、僕の得意分野は僕に。僕に出来るところは、精一杯きみをサポートするって決めているんだ。
「サンキュ。あ、でもおれにも出来る事があったら言えよな?やるとしても体力系とかぐらいしか出来ないと思うけど」
にっかりと笑みを形作る渋谷。
「渋谷…」
あたたかい…。きみを支えたい。そう思わせてくれるきみ…。
「もしお前が途中でヘバったら荷物持つのとかしてやれるから。ほらっ、お前結構すぐ体力切れするしさー」
少しからかうように渋谷が言ってくる。
「…それはきみが体力有り余り過ぎなだけだと思うよ…」
ずっと筋トレを日課の如く続けている渋谷は、肉体的な筋肉量もかなりのものだ。基本のスタミナは頭脳派の僕とは全然違う。僕がそんな渋谷のペースにフルでついていける訳ない。渋谷は分かっていて言っているんだろうけど。…て、前々から思っていたけど、渋谷って親しい相手をからかったりする事も偶にある奴なんだよなー。
そんな時の渋谷は、からかうような口調とは裏腹に凄く優しい目をしていたりするから…落ち着かない。どうしようかという気持ちになってきてしまう…。

そうこうしている内にSバーン乗り場に着いた。
自動券売機で券を買う。その間も、日本とは違うそれを渋谷は興味深気に見ていた。

そしてホームの方へ向かっていく時渋谷は疑問を尋ねてきた。
「改札口は…?」
「改札口はないよ」
「え、ないの!」
大げさな程驚く渋谷。
「近距離鉄道の場合は、ホーム入り口に設置されている刻印機に切符を差込むと日付と時刻が刻印されるから。これが改札代わりかな」
「でもそれじゃあ無銭乗車とかする奴もいるんじゃね?」
「そこはまぁ…良心に期待という感じで。あと時々抜き打ちの取り締まりの職員がチケットを確認しに来るし、罰金とか厳しくもあるしね」
「へー」
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