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●Eine Mitteilung für dich 2-5
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そしてその後結局、僕らは彼女の車に乗る羽目になっていた…。
結局、僕らは押され負けたんだ。
問答無用気味に引っ張って連れて来られた。
どうしても逃げたいというようならまだ逃げる為のやりようはあったかもしれない。
しかしびびりつつも、渋谷が自らついていく手伝うとのような意向を見せた為、僕も大人しく渋谷についていくことにした。
また後ででも、2人きりになった時にでも真意を聞こう。
…まあ、おそらく大体は僕が想像しているので当たってると思うけど…。
『助けて…』
強気で強引で有無を言わせないような態度だった彼女が、それでは驚くばかりだと思ったのか、困っているから助けて欲しいのだと言ってきた。
そして困っているという態度全開の彼女に、僕じゃなくて渋谷の方が落ちた。
彼女は、自分は女優だと自分が載った雑誌を見せながら言ってきた。
そのプロポーションや顔のよさ、そして堂々とした態度から渋谷も聞いて納得したようだ。
彼女はどうやら、休暇という名目で自分の田舎で過ごしていてその帰りだったらしい。
自分の田舎に関する事で写真を色々撮ったり資料を集めたりして、軽くエッセイのようなものを出す企画立てをしていたらしい。
それが終わって帰ろうとしたところに今回の災難。
手書きのメモや、データが入ったUSBも使用不可になってしまった。
それが膨大な量で、これはもう一人じゃあ期日までとてもじゃないがやりきれないとのことだった。
出版社とも期日を決めていたので仕上がらないのは凄く凄く困るとのこと。
そして、一人だと無理でも、僕達が協力してくれれば何とか終わらないこともないかもとも…。
結局渋谷は、自分のせいでもあるしそんなに困っているならと折れた。
僕的には…確かに渋谷のボールでっていうのもあるかもしれないけど、元はと言えばバッグを盗んだ男が悪いのだし、それにわざわざ厄介事になりそうな事を進んでやるべきものかという思いもあった。
僕達にバラしていいのかと問えば遠い日本という国の外国人で、しかも自分の顔も知らないようなドイツの芸能関係に興味がなさそうな僕達になら大丈夫そうだと。
それに助けてくれた時のことから考えてもいい人そうだからとのおまけつきで。
2〜3日程度で終わるからと言われた。
…僕は、はたして彼女は本当に本当のことを言っているのかと疑った。
…僕が変に考え過ぎかもしれないけど。
日本にいる時から何だか言いえもしれない不安も感じていたこともあったから、少し過剰になっているのかもだけれど。
しかしここは外国だ。
ちょっとぐらいオーバーに考え過ぎ疑い過ぎになったりしても悪いことなどないだろう。
断って、決めた予定通りの旅行を楽しんだ方がいいに決まっている。
しかし、彼女の必死さ全開に頼み込んでくる態度には疑いの態度を崩せなかった僕なのに、彼女の頼み込む瞳の中にどこか縋るような深い悲しみを感じた気がしたのは少し気になった…。
そして何より渋谷が助けようという方向性に決めたのが決定打になり、結局僕らは、彼女と共に彼女の田舎へ同行することになってしまったのであった…。


「はあ…」
僕は、トラックの後ろの荷台に揺られながら溜息を吐いた。
「何だよ村田ー?」
「いや、これでよかったのかなーって思って…」
「まあ…何とかなるって。本当に困ってるみたいだしさー。それに2〜3日だろ?終わってもまだ観光も出来るだろ」
「そうだろうけどねー」
彼女の田舎は、聞いてみた村の名前は僕も聞いたことがないところだった。
ベルリンから車で何時間もかかってきたそこは、森近くの緑あふれる小さな村だった。
=舗装されているコンクリートの道路もない、都会的なものがまったくないようなド田舎だった。
どこからか、のどかな雰囲気に見合ったメロディの歌声すら聴こえてもくる。
車から外の景色を眺めていても見渡す限りの緑。
そして近代的な建物などひとつもない。
それどころか車すらも滅多に見かけないような気がする。
確かにこんな田舎なら、オープンカーとかが似合いそうな彼女が工事用に使うような荷台付きのトラックで行こうというのも変じゃあないな。
「…!」
ふと、隣の渋谷が息を飲むような気配が伝わってきた。
「渋谷?」
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