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電車に乗りベルリンについた僕達は、さっそく観光を始める。
ドイツでの日本人の観光というと南側を思い浮かべる場合が多い。
中世の街々が集まるロマンチック街道など複数の街道ルートがある南側。
ヴュルツブルクから中世の薫り色濃いローテンブルクなどの町を経由して、あのシンデレラ城のモデルになったノイシュバンシュタイン城への玄関フュッセンに至る。
全長約350kmのロマンチック街道なんかはドイツきっての観光ルートだ。
しかし北にも色々な魅力的な場所はある。
水路や運河が縦横にめぐる美しい港町、ドイツでも屈指の商業都市ハンブルク。【ハーメルンの笛吹き男】でも有名なハーメルン。
赤レンガの綺麗な町並みが【ブレーメンの音楽隊】の童話の世界を彷彿させるブレーメン。
木組みの家が立ち並ぶ町並みが美しく、【北ドイツの真珠】とも言われるツェレ。
現在では国際的な見本市や展示会が行われる産業都市の側面も持ち、オーデコロンの発祥の地でもあるケルン。
中世に鉱山で繁栄し、神聖ローマ皇帝の居城があった山あいの古都、魔女の伝説でも知られているゴスラー。
北のそこいら一体では4月30日か5月1日にかけて、暖季を迎える日の前夜に行われるヴァルプルギスの夜と呼ばれる祭りが特に盛んで、世界各国から沢山の人が訪れる。
そんな沢山の魅力的な他場所を置いて、僕達が今日最初に訪れたのはベルリン。
ドイツの激動の歴史を見守ってきたブランデンブルク門や、巨大なガラスドームの連邦議会議事堂など斬新な現代建築が混在する国際都市だ。
ここはかつて大戦によって焦土と化し、戦後は冷戦とベルリンの壁によって東西に引き裂きさかれた場所でもある。
大戦…ねぇ。
「村田〜?」
「あ、ごめんごめん。じゃあ行こっか」
ベルリンとドイツの再統一のシンボルブランデンブルク門。
ドイツで最も現代的エリアと言われる現代建築のメッカのポツダム広場。
などを巡り、その後にベルリンの博物館島に行った。


世界遺産に登録されている【博物館島】は【旧博物館】がその発祥で、以後コレクションが増大するにつれ新たな博物館が次々に建てられた、世界的に有名な美術館・博物館群だ。
旧博物館は元々1823年から1830年にかけて建設されたものだけれど、大戦終結直前に建物前に止められていたタンクローリーの爆発によって旧博物館は大破してしまった。
今のものは大戦後に再建されたものだ。
18本の柱が整然と並んでいて外観だけでも十分に楽しめそうなそこは、再建されていない場所もある。
だから、戦前とまったく同じという訳ではない。

「すっげ〜…。…あ!」
建物群にやってきてからわーわー驚いていた渋谷が、いきなり僕の服をぐいぐい引っ張ってくる。
「え、どしたの?」
渋谷がこっそりのつもりなのだろうしきりに一方を指さしている。
見る人から見たらばればれな感じにだけど…。
「建物も凄いけど係の人も凄いよなっ。ほらあの体っ!」
見てみると、マッチョ系の係の人が立っていた。
「マッチョ!しかも濃い顔!おれはあんま美術館とかそういとこ行く訳でもないけどさー。こういうところの人ってマッチョもなるんだっ」
別に日本語は通じないと思うのに、渋谷は小声で僕の耳元で内緒事のように言ってくる。
そんな渋谷の行動にくすりと笑みが漏れる。
「別に全員がマッチョで濃い顔って訳じゃなくて、たまたまだと思うよ」
「日本ではマッチョが係員とかなさそうじゃね?」
「どうだろ?もしかしたらなる場合もあるかもしれないけど…。でもマッチョ率自体がそんなに高くないと思うな〜」
「まあ…外人と比べたらそうかもしんないけど…」
そんなにマッチョばかりの国だったらどうなんだという話だ。
僕は渋谷みたく筋肉マニアな訳ではないので、マッチョばかりの国など嬉しいなどとは思えない。
「まあ、今の人より、ヨザックとかの方がもっといい筋肉具合してるけどなっ」
「きみは…」
苦笑する。長年の軍属経験があり、今も眞魔国の現役のお庭番〜なんて感じのポジションのヨザック。
オレンジ色の髪と、それ以上に明るい性格と鋭い深い印象を内在する存在感が印象的な奴だ。
筋肉ももりもりで、渋谷は自分もあんな筋肉を〜とかそんなとこにも惚れ込んでいるみたいだけど…。
「でもさー、やっぱ日本人とは顔の感じ違うよなー。昨日から色々見てて思ったけど、こっちの人達」
「そりゃあね」
ドイツの人達は掘りの深い顔立ちをしている人が多い。
「でもさ、なんつーか…親しみを持てる?何か、眞魔国と似てる雰囲気も感じられるからかな。ほらっあそこある意味ファンタジー世界だろ?こっちの言い方で言うと。ファンタジー世界とかって、昔のヨーロッパを舞台にしてたりするんだろ?」
「色々あるけどまあ…中世ヨーロッパとかを背景世界とした作品は多いね、日本だと特に」
渋谷とこんな何とない雑談を交わしながらも展示品を見ていく。

今日はそういう日なのか辺りを見回しても人が少ない館内は、回りながらもどこも変に感じるところなどない。
普通の昼間の博物館だ。
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