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●Eine Mitteilung für dich 2-2
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それから…もうとっくにホテルの朝食の時間は過ぎていたし、昼食は外の屋台で食べ歩く事にした。
ドイツならではの雰囲気も渋谷に味合わせてあげたかったし。
昨日ちらっと見た屋台で、焼きソーセージをパンに挟んでもらったりワッフルを食べたり。
余程お腹が空いていたのか渋谷はよく食べた。
日本では見ないような大きなソーセージにも驚いていた。
日本では食べた事がない味に驚き、そして本当に美味しそうに食べ物を食べる。
美味しそうに食べるな〜と、自分はお腹いっぱいになってしまった後もただ渋谷の食べているのを眺めるのだけでも楽しかった。
こうして渋谷と異国の地でも並んで二人で歩ける事。
…幸せだなーと思った…。

渋谷は昨日よりももっとお辺りを見回せる余裕が出来ているらしく、そこいらをきょろきょろと見まわしていた。
ここフランクフルトは、町の大半が大戦で破壊されたこともあって、歴史的な建物よりはドイツらしくない高層ビル群のモダンな町として知られている。
しかし日本では目にしないような建築様式の建物も沢山ある。
渋谷も、おお〜っと驚いている。
「村田っ、このラッパのマークは?」
「ん?」
渋谷が指さしたのは郵便局の看板だ。
「郵便局の看板だよ。ほらっ、今出てってる車にもそのマークがついてるだろう?」
丁度郵便局から出ていく車にもそのマークがついている。
「…へー」
渋谷は車を見送りながらも不思議そうな顔をする。
「日本のと大分違うんだな。日本のは何か…、英語のTの上に一本線が入ったようなやつじゃん?あれって何でなんだ?いつ頃からああなんだ?」
呟いた渋谷に僕は説明する。
「ああ、あれは…、まあその前にもマークはあったんだけど今のは。明治20年に当時の逓信省が、『T』字形のマークを以って本省全般の徽章とす。って告示したのが始まりだよ。あ、逓信省っていうのは郵便とかを管轄する中央官庁だ。それが数日後に誤りだったって【〒】に訂正されて今の形になったんだ」
「訂正?しかも数日後にって、何でだよ?」
怪訝そうに眉を寄せる渋谷。
「後日調べてみると【T】は国際郵便の取扱いじゃ、郵便料金不足の印として万国共通に使用されていたから。だからよく似たマークは適当じゃないって事で【〒】に訂正したって説が多く語られてるね。【T】マークの由来にも諸説が色々あるよ〜。漢字の【丁】を図案化したものだとか、『逓信』をローマ字で表した【Teishin】の頭文字だとか」
「…何か色々あんだな」
まるで勉強をしている時みたいにげげっと眉を寄せる渋谷にくすり笑みが漏れる。
「日本のよりもこっちのドイツの話の方が普通に聞いてて楽しめるかな〜」
僕は郵便局の看板を指さしながら話す。
「ドイツには看板が多いだろ?」
「ああ〜、うん、そう言えばここまで来る途中にも…」
渋谷はきょろきょろと辺りを見回す。
ドイツには可愛らしかったり独特な面白い形のシンボルの看板が、色々なところにあったりする。
「中世のドイツでは、まだ文字が読めない人が多かったんだ。だから商店なんかは扱う商品を透かし看板にして壁から張り出させ、文字が読めない人にもすぐ分かるようにしたんだ。今のドイツには、そんな歴史を感じる看板から最近観光の為に出来た看板まで様々だよ」
「…へ〜」
声色で分かる。思った通り、渋谷はこっちの方が食いつきがいい。
渋谷は時代劇とかは好きだけど、日本の政治がどうのこうの〜に近い現代に近くなっていく物事の政治的な面等感じられるような物事は勉強的な感じな風に小難しく感じてしまうのだろう。
世界史と政治経済は全然教科としても違うように。
だから現代的なのよりも、ファンタジーもののように感じられる、身近じゃあないより昔や、自国ではないところのことの方が感心を引きやすい。
「あっちでもそういうの見た事あるよなーそう言えば」
中世近世欧州は眞魔国とも似たようなところもあるしね。
「そうだね。あっちは…魔力があったり色々技術的に進んでいるところもあるけど、ある意味昔のヨーロッパと似てるところも多々あるもんね」
「あっちと似てるところがあるっつーと、見てるのがもっと楽しくなってくんよな」
「そうだね」
離れていても想っている…僕達のもうひとつの故郷のような場所。はしゃぐ渋谷の姿を見ていると心の中を優しい気持ちが満ちてくる。僕はそっと目を細める。
「あ、そんでもってマーク!」
「うん。郵便のマークが何でこれかっていうと…」
「ラッパ?」
「ラッパの一種で、バルブを持たない円柱状の金管楽器でホルンの仲間だね、分類的には。中世のヨーロッパでは、肉屋は農村に着くとホルンを吹いて、取引をする人がいないか村人に知らせたんだよ」
「ちょっと待った!肉屋と郵便が何の関係があるんだよっ!?」
「それは今から話すよ」
確かにいきなり肉屋では訳が分からないだろう。
「中世ヨーロッパにはきちんとした郵便制度がなかったんだ。そんでもって、昔は治安や色々な面で今何よりもよっぽど危なかった。だから手紙とかを違う村の人に届けるのとかは、丁度その場所に行く予定の騎士や修道士、学生なんかがいたらお願いして運び手になってもらってたんだ」
「村の外に出るのが危ない?」
「うん。道とかもちゃんと整備されてないところも多かったし。強盗や盗賊なんかも普通にいたからねー。馬とか乗り物とかもない人とかのが多かったし、歩きだと更に危険度が増す。あ、それもあっちのが近いかも…。あっちのが色々便利とは言え、あっちも日本何かと比べるとそういう雰囲気に近いだろう?」
眞魔国のある世界の事を思い浮かべる渋谷は、確かにと頷いた。
「あー、確かに…。道もぼこもこしてたり、道がないとことかもあるし。…何か盗賊みたいな危ない輩もいるしなぁ。あれで馬とか乗り物がなかったらすっげー大変だよな…」
「中世はそんな中、肉屋は、色んな村々に行くから届け物を頼むのにも都合がよかった。なまものを運ぶ仕事だから、保冷剤なんかの今みたいに機能はなかったから鮮度がいいものをいかにはやく目的地に届けるかが勝負になる。その為に、機能のいい馬車や馬・人なんかを使っていたから早く届く。だから頼む人が増えてきて、上流階級なんかに大きな信頼を得るようになった…。これが肉屋との関連性。今、ドイツの郵便のシンボルとしてホルンが引き継がれている理由」
と締め括る。
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