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永遠に続く、闇の中の底知れない恐怖。
抜け出せない地獄の底で…。
しかし、きみがいれば大丈夫だって思えた。
暗闇の中でも灯りが灯る。
…どんな辛い状況の中でも頑張っていこうと思えるんだ。

…僕の、唯ひとりのきみ…。
離れたくない。
ずっと傍にいたい。
例え、何があったとしても……。



僕らは今飛行機に乗っている。隣の座席に座っている渋谷は少々緊張しているようだ。
「ほら渋谷っ、もう飛行機安定したし大丈夫だって。耳の変な感じもなくなってきただろ?」
ちらりと僕の方に視線を向ける渋谷は、出発したばかりだというのにもう疲れの色が見て取れる。
「…確かにそうだけどさー。ってかお前よく平気だよな。耳変な感じはするし、すっごい高さだし下海だし、やっぱ少しは緊張するだろ?」
「いや、僕は別に…。飛行機乗った事あるし。大体渋谷も飛行機乗った事あるだろー?」
渋谷は幼少期にアメリカと日本を行き来した事がある筈だ。
「おれのはすごいガキの頃の話だって!よくは覚えてなっつーの、そんな頃の飛行機乗った時の感覚なんて」
「まあそれもそっかー」
そんな話をしながら思う。何故僕達が飛行機に乗っているかというと…。
大学の長期休みを利用して僕らは海外旅行に行く事になったからだ。
それでもって今は日本から出発した飛行機に乗っているところ。

…最初にこの旅行の事を渋谷に言われた時はびっくりした。
まずは今回の1個前の長期休みに、泊まりがけの長期バイトに行こうといきなり誘われた。
長期休みを長々と使った泊まりがけの長期バイト。
そこでもまぁ長い分波乱万丈なバイト生活…を送った訳だ…が。その事を思い出すのは今は置いておくとして…。
何で渋谷がいきなりそんな事を言い出したのかと思って聞いてみたのだけど、その時は、後からのお楽しみ。なんて言って教えてくれなかった。
渋谷があまりにも楽しそうな、嬉しそうな顔をしてたから…あえて明かしてくれるまで追求しないでいた。
渋谷と一緒の泊まりがけのバイトも楽しかったし。
そして春休みも終わったその時期に渋谷が言ってきた言葉…。
【旅行しようぜ、海外旅行。てか行く決定で。もう金稼いじゃったし】
いきなりの突拍子もない言葉に驚いた。
しかしその訳を聞いてみて、二重の意味で驚いてしまった。
渋谷は、以前高校の頃僕が言った事を憶えていてくれていたんだ…。
以前僕は、渋谷と旅行に行きたいと提案したことがある。
その時僕は海外の地域の名前を挙げた。
しかし渋谷は高1でも手の届く範囲にしようと言い、その時は結局は、場所的にも日本内の温泉で有名なところへの温泉旅行のようなものになってしまっていた。
風呂好きの渋谷らしく、若者が行くような観光地とは少々ずれている場所だった。
まあ、温泉旅行に一緒に行くのも楽しかったからいいんだけど…。
渋谷と一緒に、2人だけで遠いところに旅行に行ってみたかった。
バイトとかじゃなくて旅行で。だから楽しかった…。
そして今回渋谷が言い出したのは、国内ではなく国外だ。
言い出したのは渋谷から、しかも遠いところにぱーっと1週間ぐらいとか言い出すものだから驚きもした。
僕は海外に1週間旅行するぐらいの貯金はあるけれど、しかし渋谷は違う。
バイトは…その為だったんだ…

万年金欠に近いところもある渋谷が払うのは大変だろうと、以前僕もちでもいいって言った時も渋谷は、それは親切過ぎるだろうと、僕に払われるという事はあまりいいような顔はしていなかった。
村田とは対等な友達でいたいから、だからただでさえそんな高い金かかるものを奢ってもらうのは何だかなーという気がしたと…。
きみが後から言ってきてくれた言葉に、僕は嬉しくなってしまったのだけれど…。
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