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【●サライェル(微妙な位置の口付け)】
●サライェル(微妙な位置の口付け)

そして結局は弟の世話をする羽目になる。
わたしも忙しいというのに。
まったく、兄というのは損なものだ…。

「駄目だよまだ寝ていないと。少し具合がよくなったぐらいで歩きまわっていたら、またすぐにぶり返す羽目になるから」

「サラ…過保護…」
少し呆れの入ったような目でこちらを見てくるイェルシー。
自分はもう大丈夫だと言いたいのだろう。

「昨日また少し熱が出たんだろう?そんなんじゃあいつまでたっても直りっこない。…もう今日は寝ること。いいね?」
聞き分けのない弟の手首を引っ張り引き寄せる。
そして、そっと弟の顔に顔を寄せ、その場所に唇で触れる。

「…っ」
「…」
柔らかい感触。
温室育ちらしく手入れの行きとどいた、柔らかくきめ細かな肌の感触。

「サラ…っ」
びっくりして目を見開くイェルシー。
「おやすみの口付けだよ」
意地悪く微笑んでやる。
こちらの苦労の分、少しぐらいは困ればいいのだ。
そしてまた、その場所に触れる。
弟の体温は、触れているだけでまるで気がぬけてくるかのように温かい。

「サラっ、そこ違う…っ」
触れた場所は、ぐずる子供をあやすかのようにする額への口付けとは違う場所。
唇のすぐ真横。
もう少しで唇に触れるか触れないかというぐらいのぎりぎりの位置。
イェルシーの抗議は無視して口付けを再度繰り返す。

瓜二つの双子の弟。
服を同じにしてイェルシーの真似をしてしまえば、あとは僅かに違う髪の長さぐらいのもの。
完璧になりきってしまえば、見分けられるのはお互いぐらいのものだろう。

鈍くて出来の悪い、甘えたで手のかかる弟。
まったく違うのに。
鏡映しのように…まるで、自分を見ているかのような気にもさせられてしまう。

憎くて、そして同じぐらい愛おしいわたしの弟…。

「サラ…?」
ことりと首を傾げる顔を眺めながら思う。

そんなお前を…
「わたしも一緒に寝室へ行ってあげるから…」

それでも捨て置くことは出来ない。
本当、兄とは損なものだ…。

******************
前の絵のリニュ版。
弟の世話をやくサラ。
入れ替わりも出来るぐらいの瓜二つの双子というのは凄いですよね。
数少ないしゃべりの中でもイェルシーは結構可愛らしい感じのそしてどことなくアホちんぽいしゃべりですね。可愛いですw
何かまたCPかどうか微妙な感じの文に…^^;


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