「そういえば何だかんだ言ってそれを直接着た姿は見てなかったと思ってな」 うんうんと深く頷いて嬉しそうに言ってくる彼。 「やはり俺の目に狂いはなかった…。お前は『あの』セイラさんの服を完璧に着こなしている…っ!」 「ショーリ…」 感極まってるような様子の彼に、苦笑してしまう。 ロドリゲスの時とは状況や相手も違う。 ショーリが見たいと言って着たこのコスチューム。 俺には少々分からない世界に行ってしまっているショーリだが、純粋に喜んでいる姿だけを見ると子供そのものといった感じで微笑ましい。 「それにしても、お前って案外細いよな…」 「そうでしょうか…」 少しショックだ。 これでも鍛えてるつもりだったが、ショーリの目には細っこく見えていたのか…。 「いやいや、何か勘違いしてないか?!俺の言ったのは軍人としてはって事だ…」 ショーリは慌てて手を振って否定してくる。 「俺が見たりしてる軍隊ものの描写があるアニメは、少々表現をオーバーにし過ぎてるところもあるのかもしれないが、長年軍人をしているとなったらもっと筋肉がついてそうだと思ってな…。でもその服もしっかりサイズが入ったみたいで、それはよかった」 そう言い満足そうな笑顔を見せるショーリ。 その顔につられて、俺の顔も自然に笑みを形作る。 「俺もちゃんと鍛えてますし筋肉もそれなりについてますよ。ただ見た目で見える感じの筋肉のつき具合は確かに、まあ人によっては少し細身に見られる事もありますが…。それに服を着てると、少し着やせするのもあるかもしれません」 大きめの、男の、しかも俺でも着れるサイズのものをわざわざ購入したショーリ。 足のところがぴっちりしているのは元々そういうデザインだからなのだろう。 各所細かく丁寧に作られているのが感じられるこの服。 俺のようによく知らない者でも拘りが感じられる。 しかしショーリのこの服の購入に至るまでの経緯を知った時など、思わず苦笑いしてしまったが…。 「すみませんけど、この姿をした事はロドリゲスには教えないでくださいね」 「ロドリゲス?何でだ?」 ショーリは顔に疑問符を浮かべる。 「そうでなくても皆にわざわざ曝したいとかはないですけど、過去に少々あった事で、出来ればロドリゲスには見せたくないと言うか…」 「…、分かった」 すぐに俺の意を汲んで、了承の言葉をくれた。 ショーリのそういうところをきちんと察してくれるようなところは、正直とても嬉しい。 「お前のこの姿は誰にも見せん。というか…見せるなら出掛けなきゃならんだろうが。今、他のところに行くな…、お前とはそれでなくても遠距離なんだから…。というか行かせん。お前は…今は俺の側で、その姿でぼけっと平和面をしてればいいんだ」 照れ臭そうにしながら言うショーリに、何だかこちらまで照れ臭くなってきてしまう…。 「ショーリ…」 上っ面の厳しいように見えるようなところもあることで、勘違いしてしまう人もいそうだが、本当のショーリはとても優しい人だ…。 あなたの優しさに…、俺は実際救われているのだから…。 この服で繋がせてくれた約束も、あなたが実際してくれた事も、俺は忘れない…。 あなたといると感じる陽だまり。 俺に安らぎを思わせてくれる。 自由を感じられる…。 「…ショーリ、好きですよ」 「な…!?」 突然の俺の不意打ちに、真っ赤になって驚いてしまうショーリ。 そんな彼にくすりと小さな笑みを漏らす。 ああ…、俺は今、確かに幸せを感じているよ……。 ****************** 以前の絵のリニュ版。 コスプレで女装…。 しかしセイラさんの服をロドリゲスが次男に着ないか提案していたやつなので一度着せてみたかったのです^^; 色もそうで女性用のとはいえ、多少困ってはいつつも(勝利の反応に)本気で嫌がってはいない(しかもその服についての勝利の事には嬉しく思ってる)ので私的にはまだセーフ…。 女装は着る側が嫌がっていないののがいいです…。 勝コンCP成立済み後ネタ。 実はこの服のネタは勝コン連載ssの『気に食わない奴』の中で書いたネタなのですが、今の途中までの話ではまだ連載終了していないので分からないところもあるかもです^^; (完結すれば全部分かるように書いたりしてます;) <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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