ウィンフィールドの第56代国王陛下である来栖はずんずんと城の廊下を歩いていく。 その頭には普段の彼らしからぬもの、何と猫の耳が生えていた。 どうやら、地球に遊びに行った際に櫂に実験台にされて生やされてしまったらしく、大変ご立腹のようだ。 「くっそー、何だよ御園生の野郎っ。オレまで巻き込むなっつーの!」 そう言い歩いている来栖の斜め後ろを、紫苑が付かず離れずついていく。 にこにこと先ほどから来栖を見て微笑んでいる。 「だからさっきから何笑ってやがるんだよ…。そんなにこの姿がみっともないってか?」 しまいには怒るぞ…という意味を込めて紫苑をぎろりと睨む来栖。 そんな来栖に少し慌てて紫苑が否定する。 「いえ…っ、違いますよ陛下」 「ん…?何だって?」 「だから、違いますよへい…」 「周りに人もいねーんだし、こういう時は名前で言えよ」 そう言いすねたような視線を紫苑に向ける。 ここが城の廊下とはいえ、今は周りに人は誰もいない。 「すみません、クリストファー様…」 まだ不満そうだがさすがにこの場でそれ以上はと思い、話しの続きを促す。 「そんで、何だったんだ?にこにこオレを見て笑ってたのは」 まさか本当にみっともないと思ってたんじゃねーだろうな?といぶかしむ来栖に、ふわりと微笑み紫苑は答えた。 「いえ、そのクリストファー様の頭の耳、よくお似合いですよ。お可愛らしい…と思っていたらつい顔に出てしまっていたんでしょう」 にこにこ微笑みながら、裏表のない表情で紫苑が来栖を褒める。 「な……っ////」 いきなり、しかも城の廊下で言われるには似つかわしくないものすごい事を言われてしまい、さすがの来栖も固まってしまった。 「おま…っ、何言って…」 「お可愛らしいですよ、クリストファー様」 これがからかいなら怒鳴り返す事も出来たのに、本当にそう思っているらしく真面目な顔でそう言われてしまえば返す言葉もなくなってしまう。 くそっ、このおっさんは…っ。 これじゃぁ一方的にオレだけが恥ずかしいんじゃねーか…。 ぶつくさ文句を呟く来栖を紫苑はずっとにこにこと、愛おしそうに見つめているのであった。 ****************** 以前の絵にリニュ版です。 クリスは一番好きなのに上手く一番上手く描けないです…(泣)青年は難しいです;少年でも大人でもない微妙な感じが出せないです…; シオンさんとクリスの二人はいいですよね〜♪クリスは結構他の人相手だと「お兄ちゃん」だとか「色っぽい」が強い反応が多いですけど、小さい頃から親子のようにも暮らしてきたシオン相手には凄く甘えて可愛い所を見せますよねvv <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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